takeabraの日記

ゲームの感想とか。

Switch「遙かなる時空の中で7」 総評

遙かなる時空の中で7 公式サイト | その恋は、運命を越える。

(公式サイト)

Nintendo Switch|ダウンロード購入|遙かなる時空の中で7

 

遙かなる時空の中で7の総評です。以下若干のネタバレを交えた各要素のレビューです。

 

グラフィック

立ち絵・スチル共に美しいです。今作も細かい装飾や柄物の衣装が多いですが、キャラクター同士が同じ画面にいても色が喧嘩しないのは地味に凄いです。私がネオロマ好きなポイントの一つです。

戦闘画面もソシャゲライクで安っぽいと捉える人もいるかもですが、モーションや表情は可愛らしく作ってあって見てて楽しかったです。過去作でおなじみの怨霊達も可愛らしくデフォルメされててなんか笑ってしまった……。

 

戦闘・育成

戦闘は過去作の1〜3をまとめて思い切り簡素にしたシステム。敵の弱点に合わせて円陣を回す、主人公が応援して仲間のAP(?)を溜めて術を放つ、を繰り返すだけの単調な作業になりがち。セミオート攻撃でターゲットも選べないので最初のうちは戸惑うかもしれない。シナリオ上で戦う敵との戦闘は一度クリアすれば二度目以降は設定次第で飛ばせるようになりますが、道端でエンカウントする敵との戦闘はスキップ出来ません。

私は難易度普通でプレイしましたが中盤以降は敵がやや硬く感じました。まあ柳生宗矩が最初から強力な一撃死スキルを持ってるので彼に任せておけばなんとかなります。

育成に関してはよくもここまで簡略化しやがってこの野郎、というのが本音です。前作もいい加減粗末な育成システムでしたがそれでも札を集めたり進化を見届ける楽しみがあったけど、今作はマジで育成に楽しみが無い!  握り飯や金平糖をひたすら食わせるだけの虚無!!

クリア時のレベルは主人公45くらい、八葉31〜38くらい。特に意識してレベル上げはせず、各地域の浄化度をMAXにしたら遁甲、パーティ人数が少ない時には遁甲といった具合で問題なくクリア出来ました。

 

シナリオ

全編通してわりと高めの日本史知識を要求してくるわりに用語辞典がそこら辺の仕事を放棄してるので、日本史に明るくない人はやや取っ付きにくいかもしれない。せめて地名の旧称くらいは解説欲しかったな……。私自身、大名同士の姻戚関係による同盟や足利家と信長の因縁などはよく知らず、そこら辺の知識を前提とした話を聞かされても「正直分からん…」としか反応出来なかった。一応解説キャラの五月が大まかな歴史の流れを説明してくれるので物語が追えないって事はないと思います。細かいネタを一切合切丁寧に説明されても興醒めだし難しいところですね……。日本史に明るい人はがっつり楽しめるのではないでしょうか。

前作『遙かなる時空の中で6』が金太郎飴と非難轟々だったためか今作は個別ルート毎にシナリオの内容がガラッと変わります。個別ルート入ってからも長めで大満足のボリュームでした。個人的なお気に入りシナリオは直江兼続柳生宗矩真田幸村あたりでしょうか。特に真田幸村に関しては信長に次ぐコーエーの看板キャラなだけあって大変気合いが入っていました。

 

キャラクター

キャラクター別感想については以下の記事に書いてます。大いにネタバレしてるので気をつけて下さいね。↓↓

Switch「遙かなる時空の中で7」キャラ別感想(ネタバレ有) - takeabraの日記

どのキャラも丁寧に作り込まれてて愛着が持てます。

その代わりといってはなんですが、ターラ以外のヴィランはなぜその行動を取るに至ったかがよく分からんかったな、と。カピタン・モロとかやってる事ラスボスなのにどういう背景があるのか全然説明ないものな〜。そのレヴィアタンはどうやって手に入れたのか気になるんだけどな〜。結城喜太郎も足利家ゆかりの人物なのに影が薄すぎて悲しかったな〜。史実だと悲しきキリシタン司祭なんだけどな〜。

 

音楽

素晴らしいです。大河ドラマ的というか。音楽を手掛けたのは近藤嶺氏、最近の作品だとFE風花雪月が記憶に新しいのではないでしょうか。一番のお気に入りは幸村ルートのラストで流れる「英雄譚の終わり」です。コーラス部分の旋律が魂を抉ってきます。あの音楽があってシナリオが輝いたと言えるのではないでしょうか。

 

その他

シナリオやキャラクターは秀逸で大いに楽しめますが、その他の部分についてはネオロマの今後が不安になる出来でした。以下箇条書きで。

  • クリア後にレベルを引き継げず、周回特典もしょっぱいため自然と周回を避けて初回プレイでなるべくフラグを立てる八方美人になりがち(ここは個人的にはそんな不満でも無かった)。また戦闘スキップをオンにすると育成アイテムのドロップが無くなる仕様も周回を億劫にしてきます(これは非常にストレスフルでした)。そのくせ2周目以降限定のテキストが散在するという不親切仕様。開発者はプレイヤーに周回させたいのかさせたくないのか……。
  • 前述したように用語辞典が仕事してないです。前作『遙か6』の登録単語総数394に対して今作はたったの79! こういう細かい読み物の充実って物語の没入度高めてくれる大事な要素だと思うんだけどな…。
  • 四章で柳生宗矩のイベントを進めてる状態だと信忠が夢枕に立つイベントが発生しなくなるんですけど、四章最後に信忠の怨霊を討伐するシーンでは夢枕イベントが発生した体で話が進むので齟齬が生じる。こういうシナリオの進行管理に関するミスはネオロマでは初めてかもしれない。

前作と比べても細かい仕様が少しずつ不親切になってて喉に小骨が詰まった感じがします。

 

総評

清濁併せてダーっと書きましたが、遙かシリーズ(特に初期の方)に思い入れがあってある程度歴史に詳しい人なら値段分は楽しめると思います。どちらかというと新規勢よりも旧作のファンの方を向いてる作品です。シリーズ未見の人がフルプライス(今作は店頭割引をフル活用しても8000近い)出してまでやる作品かというと「うーん🧐」ってなりますね。ゲーム慣れしてる人には物足りないシステムですし、逆に全くのゲーム初心者がプレイしようとしたら前述した周回コストの高さがネックになるし……。キャラやシナリオは楽しめると思いますが8000出してもここまでプレイアビリティが下がってしまうという事実がチクチク刺さる……。同じ値段出すならFF7Rやる方が楽しいと思う。FF7R知らんけど。

ただそれを持ってして見切りを付けるには非常に惜しい作品なので、購入迷ってる方はセールを待つのも大いにアリだと思います。

 

ここまで読んでいただきありがとうございます。私自身はこの作品を十二分に楽しめたし、ファンディスクが出るなら必ず購入する予定です。